映画『ほしのこえ』(新海誠) を観て
※一応ネタバレ注意
先日「君の名は」で初めて新海誠作品を鑑賞しました。 恥ずかしながら、新海誠作品を観るのはこれが初めてだったので、もっと色々観てみたいと思いTwitterで聞いてみたところ、「ほしのこえ」から観るのが良いのではとの声をいただきました。
@macky256 ほしのこえ→秒速(→言の葉)→新作 星を追う子どもは……ちょっと異端ちっくだから新海誠ワールドって意味では上記がいいのでは
— ころぼ らす/koro borası/ (@choir_tempest) August 28, 2016
Amazonビデオだと200円だったので、Amazonビデオで鑑賞。
「君の名は」の感想が上手く言語化できなくてちょっと悔しかったので(近々また観たい)、「ほしのこえ」の感想を書いてみたいと思います。
どんな作品かというと
携帯メールをモチーフに、宇宙と地上にわかたれた少年少女の超遠距離恋愛を描いたSFロボットアニメ作品 Other voices-遠い声- » 「ほしのこえ」
という感じなのですが、なかなかぶっとんだストーリーなので多分観てみないと分からないと思います笑
予告編はこちら
Amazonビデオ版では最初は短編「彼女と彼女の猫」が流れて、その後に「ほしのこえ」がはじまります。
新海さん自身が
「一人で作った」等の話題性からか思惑をはるかに超えるヒットとなりましたが、今となっては自分では見返すのも忍びないとても稚拙な作品です。 Other voices-遠い声- » 「ほしのこえ」
と述べている通り、画は「君の名は」等最近のアニメに比べると粗い感じはしますが、背景は今と比べても劣らない美しさで、このときから既に自身の世界観をを確立していたんだなぁーと驚かされます。
ストーリーはこちらにある通りです。 ほしのこえ - Wikipedia
2047年の話だけどガラケーを使っていたり、いきなり戦闘シーンになったり、戦闘シーンで制服を着ていたり、ストーリーについてはかなり突っ込みどころがあったのですが、所々での「切なさ」の描写が上手いなぁーと思いました。
自分的には以下の2つが切なさのハイライト。
ミカコが宇宙に旅立ってしまうところ。
主な登場人物は中学の同級生のミカコとノボルで、中学生の頃からお互い淡い恋心を抱いていたものの、高校進学を機に、ミカコは宇宙軍の選抜メンバー。ノボルは普通の高校生としての道を歩みます。 これにより、2人は立場的にも物理的にも離れてしまいました。切ない。 女の子のほうだけエリートコースを進んでいくという作品は少し珍しい気もしますが、これにより、ノボルの葛藤に感情移入しやすくなったように思います。 そして、物理的な距離が離れる度に、メールの通信にかかる時間も長くなり、お互いの時間軸にもズレが生じ、さらに2人の距離は離れてしまいます。 観てる側としては、このままどちらかの心が離れてしまうのではないかとハラハラしました。(ノボルの心は離れかけていそうな描写でしたね)
8光年ワープし、更に離れ離れになってしまうところ
その前にもワープによって1光年離れてしまうタイミングがあり、2人の時間軸も1年離れてしまっていましたが(メール送信に1年かかる)、 2度めのワープによって、地球と8光年離れてしまったことにより、2人は完全にバラバラになってしまいました。 1年の時間のズレならまだギリギリ相手の存在を意識できるような気もしますが、8年もズレてしまうと、相手はいなくなってしまった(≒死んでしまった)と近い感覚なのかなぁと。 その絶望感を考えると切なすぎます。
8年の月日を超えて最終的にノボルにそのメールは届きますが、ノボルの気持ちはその時までミカコに向いていたのか、作品中では明かされていなかったので、答えが非常に気になります。(携帯を持ち続けていたのが答えだったのかな)
「君の名は」でも感じましたが、新海タッチの美しい風景とポエム調で語りかける登場人物の少々クサいナレーションが切なさを加速させます。
そして最後に、何よりすごいのはこの作品を新海誠さんが一人で作り上げたということです。
25分のフルデジタルアニメーションの監督・脚本・演出・作画・美術・編集のほとんどを、新海誠監督が一人で行なった。制作環境はPower Mac G4 400MHz、使用されたソフトはAdobe Photoshop 5.0・Adobe After Effects 4.1・LightWave 6.5など。 ほしのこえ - Wikipedia
すごい… 最近知ったのですが、新海さんはサラリーマン(といっても全く関係ない所でもなさそうですが)やりながら初期のアニメーションを作っていたとのこと。 新海誠 - Wikipedia このバイタリティは今の自分に欠けているので、もっと頑張らないとなーと思いました。
色々書きましたが、なんていうか、「これを一人で作ったのか!」と感じるだけでも観る価値はあるような気がします。レビュー観ても賛否両論はあるようですが、この少し浮遊感のある切なさはこの人以外の作品だとなかなか感じたことがないひょうな気がします。
うーん、やっぱり感想が書きづらい。 他の新海作品も観て、もっとその世界観に触れたいと思います。